【本】トリツカレ男 いしいしんじ
何かに「とりつかれた」ことはありますか?
トリツカレ男 いしいしんじ
この物語の主人公ジュゼッペは、何かハマるものに出会ってしまうと、もうそれ中心の生活になってしまう、町でも有名な「トリツカレ男」。まさに取り憑かれている、というのが最適な表現。とにかく夢中になってしまうのです。
三段跳び、昆虫集め、探偵ごっこ・・・
勤め先であるレストランでの仕事に支障が出るくらい夢中になってしまうんです、極めるところまでいってしまうんです。
仕事に支障が出るようになると雇い主であるお店の主人は「それが落ち着くまでお休みしなさい」と言います。クビにはしないんですね。町の人たちもジュゼッペの奇妙な行動を目にしては「また何か新しいものにとりつかれたんだね」「今度は何だい?」というように寛大な心でジュゼッペを見守ります。なんてやさしい町。
次から次へと興味が移り変わってゆくジュゼッペがある日とりつかれてしまったのは、公園で風船を売っていた一人の女の子。とにかく夢中になると歯止めが効かなくなるジュゼッペ。彼はどうするのでしょう。
とても素敵な、そして純粋な物語です。純粋すぎるジュゼッペが可哀相になってしまうこともありました。でも素敵なお話です。