【本】冷血 トルーマン・カポーティ
よもぎです。
先日江崎グリコ・スプラトゥーン2コラボグッズのアフィリンクを貼った記事をアップしたのですが、先ほど確認したところ転売が始まっているようでしたので該当リンクを削除しました。
yomoginosukinamono.hatenablog.com
なくなりませんね、転売(ため息)
さて、先日トルーマン・カポーティ「冷血」を読みました。
カポーティ作品はあまりにも有名な「ティファニーで朝食を」だけは読んだことがあるような気がしていたのですが、覚えていないんですよね。映画も見たはずなんですけど、覚えていないんですよね。読んでないし見てないのかな、もしかして。
今回この「冷血」を選んだのは、先日読んだ「悲しみのイレーヌ」「ブラック・ダリアの真実」の影響。どちらも猟奇的な殺人事件を扱っています。この2冊のうちのどちらかにカポーティ「冷血」が出てきて(どちらかは忘れました…)気になって読んでみた次第です。
この「冷血」もなかなか狂ってますね、犯人が。
一家四人を殺害するというアメリカで実際に起きた事件をもとに書かれた小説で、ノンフィクション・ノベルという位置づけをされています。事件が起きて警察が動き、犯人が捕まり絞首刑になるまでがこの本です。
人が殺されるノンフィクションはキツイですね、精神的に。
こういった猟奇殺人ものを読むとき、わたしは犯人がどうしてそのような行動をとるに至ったのか、その背景が知りたくなります。「お金がほしかったから」「恨みがあったから」といった「犯行動機」ではなく、あっさりと人を殺めてしまうその精神状態にどうやってなってしまったのか、です。
わたしは、フィクション・ノンフィクション合わせて今まで何冊かの猟奇殺人ものを読んできたと思いますが、どの犯人も子供の頃の家庭環境が大きく関係しているのかな、というのがそれぞれに共通した感想です。「冷血」の犯人も哀れな子供時代を過ごしていました。彼の犯した罪は許されるものではありません。しかし、もしも幸せな子供時代を送れていたら、犯罪者になることはなかったのかな…などと考えてしまいます。
優しい部分も持ち合わせているのに残酷さがそれを大きく上回っている犯人。生まれ持った性格もあるのかもしれませんが、彼の場合は家庭環境が劣悪すぎた…。
正直なところ、悲惨な子供時代を送らざるを得なかった犯人には同情してしまう部分もありました。しかし、それは一家四人を殺していい理由にはなりません。友人、知人、誰もが「素晴らしい一家」と口を揃えて称える穏やかで優しいクラッター一家。被害者を含めどれだけの人達が悲しみに沈み、恐怖を感じたことか。胸が痛みます。
この本でとても心に残った一文があります。
「金持ちはけっして吊るされない。吊るされるのは貧乏人と友を持たない人間だけだ」
この場合の吊るす、とは絞首刑のこと。
もちろん、金持ちだろうが貧乏人だろうがその罪から逃れることはできません。しかし、お金・権力・友人を持っていて実際、それらを駆使した上で警察の手から逃れた容疑者の本を読んだことがあるので、この一文は妙に心にすとんと落ちてきました。別に素晴らしい言葉ではないんですけどね。むしろひどい言葉なのですが、嫌な説得力があります。
犯人を一言で表すなら「冷血」。まさにこのタイトルの通りです。冷たく光る犯人の目を連想せずにはいられませんでした。