よもぎ日記

ゲームや読書が好きなインドア派。平凡な日常ネタばかりになると思いますが、インターネットの片隅でこっそり生きていくつもりです。

【本】ブラック・ダリアの真実 上・下  スティーヴ・ホデル

よもぎです。

 

先日、初めて「ブラック・ダリア事件」という言葉を目にし、何のことかさっぱりわからなかったので調べてみたところ、1947年にアメリカで起きた殺人事件だということを知りました。

 

本書は、その事件の謎にせまるノンフィクション。

ブラック・ダリアの真実 上・下 スティーブ・ホデル

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著者のホデル氏はロス市警に勤め300件以上の殺人事件を担当し、退職後は私立探偵になったそうです。そのホデル氏が、ひょんなことから1947年に起きその後迷宮入りとなっている「ブラック・ダリア事件」を調べる事になりました。この本が出版されたのは上巻が2006年なので、随分昔の事件の捜査です。ホデル氏はとっくに警察を退職しています。それでも調べずにはいられない事情が、彼にはあったのです。

 

ブラック・ダリア事件。

1947年1月、空き地で若い女性の遺体が発見されました。遺体は腰の部分で2つに切断されており、わざわざ人目につくように放置されていたとのこと。被害者の名前はエリザベス・ショート。ブラック・ダリアというのは彼女のニックネームだったようです。もちろん警察は捜査を開始しましたが、犯人は一向に捕まりません。そのまま何年も何年も過ぎ、迷宮入りと言っても過言ではない状況になってしまいました。

 

さて、警察を退職したホデル氏ですが、ある日、高齢の父親が病気で亡くなりました。父親の遺品の中には家族や友人など愛する者たちの写真ばかりを収めたアルバムがあり、それをパラパラとめくってみると、エリザベス・ショートの写真が出てきたのです。そこから、ホデル氏の捜査は始まります。

 

父親がどんな人物だったのか、またブラック・ダリア事件当時、父親はどこでどんな生活をしていたのか。それらを家族・知人らに聞きまわり調べていくと、とんでもない事実が浮かび上がってきたのです。

 

「もしかして、ブラック・ダリア事件の犯人は父では?」

 

この本を読む限り、わたしはホデル氏の父親は限りなく黒に近い、というかもう真っ黒だと思います。自分の父親について調べ、まとめ、本にして出版するという作業がホデル氏にとって辛いものだったであろうことは想像に難くありません。それでも彼は真実を世間に公表することを選んだのでしょう。彼の父親が亡くなった今となっては本当のことはわかりません。しかし、数々の点が線となり、彼の父親に結びついてしまうのです。

 

被害者は切断されていました。拷問を受けた跡もありました。

 

本書を読んでいる間わたしは風邪で体調を崩していたのですが、弱っている体には刺激が強すぎると感じました。被害者への仕打ちがあまりにも酷いのです。そして掲載されている何十枚もの写真が「これは現実なんだ」とわたしにのしかかってくるのです。

 

ホデル氏の父親をはじめとする家族、友人、当時の新聞記事、そして被害者エリザベス・ショートの声無き姿…。本当にたくさんの写真が掲載されています。驚くことに、遺体の写真までもが載っているのです。モノクロ写真であったことだけが幸いでした。

 

事件そのものも残忍極まりないのですが、事件にからんだ警察と新聞社とのつながり、事件を隠蔽しようとする者、腐った警察…。読んでいて「ひどい」の連発でした。今では考えられないような体制が当時は当たり前だったのです。

 

この本を読んだあと、事件を元にかかれた小説を読もうとしてみたんです。でも読めませんでした。順序が逆ならよかったのでしょうが、ノンフィクションで様々な事実を知ってしまった今となっては、それをもとにした作り話は…わたしには、読めませんでした。本書の内容が、あまりにも重過ぎて。