よもぎ日記

ゲームや読書が好きなインドア派。平凡な日常ネタばかりになると思いますが、インターネットの片隅でこっそり生きていくつもりです。

「しつけで子供を外に出した」と聞いて思い出したこと

髪がバサついてしまって泣きたいよもぎです。
パサついてるんじゃないんです、さらに上を行く、バサついてる、って感じなんです。最近変えたシャンプーが合わないのかな…。


山姥のようなわたしの頭の話はさておき。
身近で「子供が良からぬことをしたので家の外に出した」という話をここ数ヶ月の間に何度か耳にしたのですが、それを聞いて、自分が子供だった頃、母親に締め出されたことを思い出しました。


あれは中学の頃だったか、高校の頃だったか…。十代半ばです。その当時、わたしは17時までに帰宅するよう言われていました。上着も着ずに自転車に乗っていた(北海道)季節だったので初夏~夏の終わりあたりだったと思います。


母は常にわたしに怒っている人で、だらしないだの気が利かないだの今でいう「人格否定」的な言葉をしょっちゅうぶつけてきました。そんな家が居心地のいい場所であるはずがなく、わたしは1分でも長く外で友達と遊んでいたかったのです。


17時の門限を守らない(といっても30分程度。その程度の度胸しかなかった)事が時々あり、ある日、門限より5分ほど遅れて家につくと玄関には鍵がかかっています。あれ?と思いピンポンを鳴らすと扉の向こうから母の怒った声。


「時間守らないなら帰ってこなくていい!」


あ、家には入れないんだ。そうわかった瞬間、わたしは再び自転車にまたがり家を離れました。不思議と悲しくも怖くもなかったのです。ただ「あっそう。それじゃさようなら」という気持ちだけ。


母は恐らく、わたしが玄関の前で彼女の許しを請うとでも思っていたでしょう。普段なら「ごめんなさい」と謝るところでしたが、その日わたしはそのまま立ち去りました。わたしが去ってから母は玄関のドアを開けたのでしょうか、そこにわたしがいないと知ってどう感じたのでしょう。その件について母と話したことはないので知るよしもありませんが、一般的な親の反応として思い付くような感情にはなったのではないでしょうか。つまり「心配」。


わたしは自転車で町をさまよいました。当時は携帯電話などなく、しかも夕飯時に差し掛かっていたため、友達の家に行くわけにもいかない。書店のある商業施設に行こうかとも思ったけど、学校の制服のままだし補導されたりしたらいやだな、そんなことになったらまた怒られるネタが増えるだけだしめんどくさいなあ。


で、結局、お店のない住宅地を選んで、なるべく遠くの方までウロウロ。自転車で10分もいけば、よく言えば「自然豊かな」場所がたくさんあるのでそういう所に向かいました。


でも、お金も食べ物も持ってきてない。


やがて日が落ちあたりは真っ暗になりました。あぁ夜になったなあ、この時間になったらそれこそお巡りさんに声かけられそうだなあ。どうしようかなあ、友達の家にはこんな時間に行けないよなあ。時計がないから何時かわからないけど、真っ暗だから夜だよなあ。


などと考えながら、わたしは家の近所の公園まで戻りました。ブランコやベンチに腰かけながら「この公園が見える家の人に存在を気づかれたらどうしよう、こんな時間に制服のまま1人でどうしたの?って言われるだろうなあ」今考えると「誰かに何か言われるんじゃないか」と、そればかり気にしていました。親が心配してるんじゃないか、なんてことは一瞬も頭をよぎりませんでしたが。


あまりに行くところ、することがなさすぎて結局「帰ろう」と決めました。まだ鍵がかかっていたらそのときまた考えよう。


家に着くと玄関のドアはすんなり開きました。バタバタと母が出てきて安心したように「ああ、おかえり!」家には、恐らくわたしよりだいぶ前に仕事から帰ったであろう父の元に彼の友人が訪ねてきていました。その人がピザを持ってきてくれたから食べなさい、おなかすいてるでしょう、と母に言われたことは記憶しています。ですが、食べた覚えはありません。食べたことを忘れているのかもしれませんが、ピザをどうしたのか、わたしは覚えていません。時計を見たら20時を過ぎたところでした。


普段なら叱るであろう父からは何のお咎めもありませんでした。「子供を締め出したらいなくなった」ことを父だけでなくその友人にまで知られてしまったんだな、母は。父には怒られたのかな、さすがに。恥だね。自室でそれに気付いたわたしの脳裏に真っ先に浮かんだ言葉は


「ざまあみろ」


でした。
心配かけたな、悪いことをしたな、などとはこれっぽっちも思いませんでした。



今でもその事を時々思い出します。


あのまま帰宅せず本当にいなくなってしまっても良かったかもな、そしたらテレビで行方不明者を探す番組とかで呼び掛けられて「現在は○○歳になっています、失踪当日は学校の制服姿で…」なんて写真出されたりとかしてな、などと空想しては、ああ、やっぱりあの母と同じ墓には入りたくないな、と改めて思い、わたしが築いた家庭で「わたしの死後は実家・義実家(←ちゃっかりこっちも)どちらの墓にも入れないように」と家族に念を押しているのです。


躾だから、と、夜に子供を締め出す親御さん。その子がいつまでも玄関の前で扉が開くのを待ってると言い切れますか?やめたほうがいいと、わたしは思いますよ。